▼起業家file.013 五味渕紀子さん 有限会社YPP 代表取締役



(プロフィール概略) 
おまかせ事務代行YPP 子育てママや在宅介護中でも働ける場を提供!!
1967年東京都練馬区生まれ。生後間もなく難病との診断を受け、6歳まで生きることができない、と宣告されたが、奇跡的に助かる。中学から合唱を始め、高校では茶道、大学ではバンドサークル(キーボード担当)を。立教大学史学科へ入学。
就職は埼玉新聞社へ。33歳でITベンチャーへ転職したが1年で会社は倒産。その後フリーライターで活動中にコンサルの師に出会い、弟子入り。コンサルの面白さに目覚めた時、妊娠・出産。その半年後、コンサルの仕事に復帰するも、育児との両立に悩む。たまたま手伝った先輩の会社で、経理や事務の仕事をこなしている時に「事務代行」のアイデアが生まれる!! ’05年有限会社YPP設立、現在9期目。


●幼少~会社時代ー
生後間もなく難病に!! ・・・でも奇跡的に生還できたんです。
一転、アクティブ派でチャレンジ精神旺盛な性格に!!


生まれて間もなく難病「再生不良性貧血」との診断を受け、「6歳までは生きられないだろう」と宣告されていました。でも環境の良い上尾へ引っ越したり、色々な治療をしたり…で奇跡的に生き伸びることができたんです。その後小学生では病弱で内気な性格でしたが、中学から合唱部でミュージカルをしたり、大学でもハードロックバンドでキーボードを担当したり、アクティブな学生生活を謳歌していました。
立教大学史学科(日本現代史)を志望したのは、高3の時「落日燃ゆ(城山三郎著)」を読んで、社会の裏側に興味を覚えたことと、高校の歴史の先生が大変ユニークな授業をしてくださる方で、日本現代史が大好きになっていたからです。

卒業後はマスコミ志望でしたので地元の埼玉新聞社に入社しました。広告営業部へ配属、13年間営業の世界一筋でした。女性初の課長職になりましたが、業績停滞の中で職場の士気も沈滞ムードが続いていて、この環境では自分の成長が望めない、と悩むようになりました。33歳になった時、思い切って以前から関心を抱いていたITベンチャーに転職。しかしわずか1年で会社は倒産して、フリーランスに転身という事に。

結婚は就職してすぐに学生時代のバンド仲間とそのままゴールインです。ただ仕事のストレスや体調不良から子供ができず、不妊治療をしたりずっと悩んでいました。でも「子供がいない人生を楽しむのもいいかな」と前向きに捉えて仕事に打ち込んでいたんです。
その後、有名なコンサルの師匠と出会い、すぐに弟子入りしました。コンサルのイロハから教えて頂いて、セミナーや講演ができるまでになり、毎日仕事が楽しくてしょうがない状態が続きました。するとストレスが無くなり体調が良くなったせいか、なんと妊娠!! 本当に嬉しいサプライズでした。35歳で待望の出産なので、大事をとって出産・育児に専念するために仕事を辞めました。
 

●新規起業のキッカケー
先輩の会社のお手伝い、経理・総務・書類整理……。
小さな会社は軌道に乗るまで事務の専任者を雇わないことが多い!!

 

’03年長男を出産。本当は育児に専念するつもりだったのですが、どうしても社会から取り残されていく焦りと孤独感が次第に募ってきてしまって…。「仕事をしたい」でも「いいお母さんにならなければ…」、との2つの思いに捉われる様になり、心と体のバランスを崩して、産後うつ状態になっていたんだと思います。その後半年くらいで、母親に育児サポートをお願いして仕事復帰を宣言しました。この頃は営業コンサルタントの仕事が順調に進む反面、育児の責任への不安が募って、仕事も育児も楽しめないという「迷い」の時期でもありました。

そんな時、先輩の会社で経理を手伝って欲しいとの依頼を請けて仕事をしていると、経理事務だけでなく、ファイリングや顧客リスト整理など営業事務や総務的なことまで次々と頼まれたのです。この時、「小さな会社の事務代行業務」というビジネスモデルの発想が芽生えました。そして、クチコミでお客様を紹介して頂き、一社一社に対応するうちに、どの会社様でも同じような状況とサービスの需要の大きさを実感しました。

 

小さな会社では、事業が軌道に乗り、総務・経理の専任を雇えるようになるまでは、社長がすべての業務を一人でこなさなければなりません。経理・総務などの事務作業はアウトソーシングして、浮いた時間を使って、新規顧客を獲得したり、新サービスを構築したり、など本来やるべき業務に専念して頂くのが良いのでは…と思ったんです。

 

●起業の決断ー

私自身も子育てしながら働ける仕事をしたい!!……だから
世の中の子育てママや在宅介護中の方にも、働く場を提供したい!!

 

さらに事務代行に対応するスタッフ候補は、私と同じような子育てママが沢山いることも判ってきました。「育児があるけど、毎日子供が寝た後2時間働きたい。社会と繋がっていたい」という子育ても仕事も頑張りたい女性に、働く場を提供することは社会の役にも立つこと、と考え始めました。これは、私自身も仕事と育児の間で悩み抜いたからこそ生まれてきた発想でした。

 

運良く資金も集まり、052月に法人化して「有限会社YPP(Your Partner & Planner)」を設立しました。当初は「経営コンサルタント事業」としてのスタートで、事務代行の仕事が次第に増え始めてきたのは、設立後暫くしてからのことです。


  

 ▲ウェルカムボード
 ▲ウェルカムボード

●起業後のエピソードは?
経理事務代行事業1本に全力投球!! 

徹底的な品質管理でサービス満足度を高める取り組みも!!


「パート募集! 週2日以上、一日2時間でもOK!!」という広告をだしたら、80人以上もの女性が応募してくださいました。働きたい方は沢山いるんだ、という実感で少し調子に乗ったのかも知れません。「経理ができると言っていたのに、できなかった」「子供が熱を出して休んだ」・・・色々失敗が露出して、未熟なサービスが浮き彫りになってきたのです。必要としてくださっているお客様に大変申し訳ない気持ちで一杯でした。そこで、コンサルの仕事は辞めて、事務代行一本に絞り集中してサービスの品質を高めることに目標設定しました。

YPPの特徴は、1日2時間の事務作業を継続的に代行することです。「仕事をこなすための業務フロー」「業務連絡のメーリングリスト」「業務報告体制」・・・「情報共有のためのスタッフSNS導入」など、独自の仕組みや細かいYPPルールの実践を徹底したことにより、
誰が担当しても滞りなく作業ができるようになってきました

また経理のスタンダードって何だろう?という発想から「JimCafe(ジムカフェ)プロジェクト~経理に関わる方達の勉強と交流の場」を発足させました。経理のスタイルは会社によってかなり異なるんです。事務代行で業務の仕訳をしていて気づきました。そんな情報を共有して業務スキルを高め合ったり、ふだん孤独で仕事をしている人が多いので、月1回のコミュニティの場としても喜ばれています。28回開催していて、興味のある方なら社内外どなたでも参加できます。


●今後の夢・目標・生き方についてー
少量・短時間でも、安心して長く働ける環境をつくりたい!!
「全国地域を問いません、いつでもどこでも働けます!!」を実現したい!!


「忙しい社長さまを、事務仕事から解放します!」「おまかせ事務代行YPP」のキャッチフレーズも定着してきました。現在百名以上のスタッフが毎日様々なスタイルで仕事をしています。特徴はそのうち9割が子育て主婦やシングルマザーであることです。今後は、事務代行する仕事の幅を広げたり、サービス品質を更に高めていくことや、YPP的な働き方をする素敵な女性を全国各地に増やしていくことが当面の目標です。

仕事が充実すると、子育てを楽しむ心のゆとりにもつながりますし、母親が勇気や自信、未来への希望をもって輝いて生きることは、子どもにとってもかけがえのない贈り物になると思うんです。楽しそうに働いている母親をみて、『早く働いてみたいな』と子どもが憧れるような素敵な女性が増え、長く活躍できる世の中になればよいなあと思っています。

 



●五味渕のり子、私の座右の銘  

 「思いやり」
 「今日が一番若い」 ~今チャレンジしよう!!



 

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